音響雑音環境下における位相雑音補償OFDRの特性に関する検討

摘要

位相雑音補償コヒーレント光周波数領域反射測定法（PNC－FDR）の中·長距離測定における空間分解能制限要因について検討した。光源位相雑音補償後の分解能を決定するのは被測定ファイバに加わる音響波によって誘起される音響雑音であることを実験的に示した。また、数kHzの狭線幅レーザを使用しているにもかかわらず補償前においては音響雑音よりも光源位相雑音が支配的であることを明らかにし、連結参照法を用いた光源位相雑音補償がその空間分解能改善において極めて有用であることを示した。さらに、FUTと参照干渉計の両方を音響波から遮断した際に理論分解能が達成されたことから、連結参照法を用いた光源位相雑音補償手段が40km（16回連結）にわたり有効に作用することを実証した。実環境下での特性把握のために、地下管路に敷設した光ケーブルの測定を実施し、20kmレンジまでにおいて音響波による深刻な波形広がりは観測されなかった。従って、実利用時においてもPNC-OFDRの特性は維持されるものと考えられる。