パイプライン検査の技術動向：代表的なインテリジェントピグの紹介

摘要

効率的なエネルギーの長距離輸送手段の一つである天然ガスパイプラインが、米国で建設され長距離輸送化が実現可能になって半世紀以上が経過した。 その間、北米を始め欧州ならびに旧ソ連などでガス田の開発、主要都市のエネルギー需要の増大さらにはパイプラインエンジニアリングの進歩により天然ガスパイプライン網が発達し敷設延長が拡大してきた。 エネルギーの変遷を振り返って見ると20世紀は個体エネルギーである石炭から液体エネルギーである石油へと主役が交代したが、21世紀前半は気体エネルギーである天然ガスが主役になると言われている。 天然ガスは可採年数、埋蔵量および二酸化炭素の排出量の点から今後益々、注目されるエネルギーである。 世界各地で稼働中の天然ガスパイプラインの中には建設後、通常の設計寿命（例、ロシアでは33年と言われている）を越えているものや寿命に近づいているものも多々ある。 長距離パイプラインは大半が地中や海底、さらには特殊な地理的環境下に埋設されているため不具合があっても簡単に大規模な敷設換えは困難である。 既存のパイプラインの経年変化を調査し優先的に補修する箇所を判断し適切な対策を施してパイプラインの健全性を維持し稼働ライフを延長させることが現実的である。 この様な理由から、パイプライン全線の検査が可能なIn-line inspection（ILI）ツール（一般的にはインテリジェントピグまたはスマートピグと呼ばれている）が1960年代から開発され今日に至っている。