耐震設計の実務：高圧ガス設備等耐震設計基準による配管系の耐震設計

摘要

高圧ガス設備に関する耐震設計基準（通商産業省告示515号、高圧ガス設備等耐震設計基準、1981年）が告示され、塔槽類および架構の耐震設計が規定されたのは周知のとおりである。 さらに、兵庫県南部地震（1995年1月17日午前5時46分頃、震源地：淡路島、震源の深さ：約14km、マグニチュード：7.2）の地震被害により構造物の耐震設計の見直しが行われ、高圧ガス設備等耐震設計基準の一部が改正（第143号）された。 改正告示では、配管およびその支持構造物を含む配管系についての耐震設計が新たに加わった。 また、耐震設計地震動がレベル1地震動とレベル2地震動の2段階となった。 レベル1地震動とは、供用期間中に一、二度発生する確率を持つ地震動に相当し、地表面で最大300gal程度を想定する。 レベル1地震動に対しては有害な変形が残留せず、かつ当該配管内の高圧ガスの気密性が保持される。レベル2地震動は発生確率が低い、直下型、海溝型の巨大地震による高レベル地震動に相当し、地表面で最大600gal程度を想定する。 ただし、地域差は小さい。 レベル2地震動および地盤の液状化に伴う地盤変状に対しては、当該配管内の高圧ガスの気密性が保持されることが、その耐震性能評価の基本的考え方となっている。 本稿では、高圧ガス設備等耐震設計基準による配管系の耐震設計について以下に解説する。