水のライフライン：第7回 ヨーロッパ水ネットワークアジアの大規模な水ライフライン＜〈中国の水ライフライン「南水北調」〉〈インドの河川連結計画〉〈マレーシア·シンガポール間導水管ライン〉＞

摘要

ヨーロッパにも水資源偏在の問題は存在する。 オーストリアには、アルプス山脈からの氷河の水や雪融け水が流れ込む多くの湖があり、ここに満々と蓄えられた清澄で豊富な水は、ドナウ川、エルベ川、ライン川などに注いでヨーロッパの国々を潤し、また、多くは地下にも浸透して、地下水脈となって豊富な自然の巨大な地下水槽を形成し、湖泉水のバッファとなっている。 ヨーロッパでは、人口の約87％が表流水の処理水や地下水を公共水道として使用しているが、この地域では99％の人々の飲料水がもっぱらアルプス山岳に湧出する湖泉水でまかなわれている。或る水文学者の研究によれば、アルプス地域の年間地下水補充量は255億m{sup}3であるが、水環境を破壊することなく動植物系に使用されている水の量は、通常の年でたかだか年間4億5,000万m{sup}3に過ぎないという。