高比強度·高成形性軽金属板材の研究開発

摘要

近年，自動車軽量化のために軽金属板材の使用が進められているが，成形性や製造コストなどの問題から，それらの用途は特定部材に限定されている。大幅な単体軽量化を達成するにはボディパネルへの適用が有効であり，板材成形性の改善が不可欠である。著者らはこれまで，ランクフォード億（タイ億）が高く深絞り性の良好な析出強化型Al-Mg-Si系（6000系）アルミニウム合金板，および降伏強度と成形性のバランスがとれたAZ系（Mg-Al－Zn系）マグネシウム合金板を開発してきた。これらの板材は，通常の等速圧延の後に輿周連圧延を行う等速·輿周連複合圧延プロセスを経た後に洛体化処理や焼なましなどの熱処理を施して，Al-Mg－Si系合金に{111}が板面に平行な{111}再結晶集合組織を，AZ系マグネシウム合金に（0001）が板面に平行な底面集合組織（強度に寄与）と圧延方向に約40°傾いた集合組織（成形性に寄与）を有する特異な集合組織を，発達させた材料である。