電解コンデンサ用高純度アルミニウム箔における粗大結晶粒発生に及ぼす不純物水素の影響

摘要

電解コンデンサ用高純度アルミニウム箔において，非立方体方位粒の異常粒成長に及ぼす不純物水素の影響について調査し，以下の結果を得た。 （1）最終焼なまし時の非立方体方位粒の粗大化は，鋳造時に混入する不純物水素の量が多くなるほど生じやすくなることが明らかとなった。 （2）鋳造時の水素含有量が多くなると，圧延箔においても残存水素量は多くなった。 （3）最終焼なましにおいて格子問に固溶しきれない水素は，主に立方体方位粒間の小角粒界に濃化していると考えられた。（4）鋳造時の水素含有量が増加すると，非立方体方位粒の粗大化の駆動力となりうる上記小角粒界の体積率が増えた。 これは，最終焼なまし中も残存していた過飽和水素が小角粒界を安定化するためと考えられた。