高配向性ラメラ組織を有するTi-43mol％Al金属間化合物の創製とクリープ特性

摘要

高温加工と熱処理の組合せにより，高温でも安定で，界面すべりや動的再結晶を抑制できる，板面に平行にラメラ界面が頻度高く存在する高配向性のラメラ組織TiAl金属間化合物を創製する方法を見出すことを目的として，α＋γ二相ならびにα_2+γ二相状態での加工とその後の熱処理によるプロセスを実験的に検討した。 その結果以下の結論を得た。 （1）α＋γ二相ならびにα_2＋γ二相ラメラ組織状態での圧縮加工により，ラメラ界面が圧縮面に平行に近づく形の結晶回転が生じ，良好な力学特性が期待されるラメラ配向を実現できる。 （2）α_2＋γラメラ組織状態での加工では，ラメラコロニー境界に単相微細粒とクラックが生成される。 一方α＋γラメラ組織ではクラックは形成されず，単相微細粒が形成される。 このような差異は，α相内では5つの独立なすべり系が活動できるこのに対し，α_2相には十分な数の独立なすべり系が存在しないことによると考えられる。 （3）α＋γラメラ組織状態での加工により，ラメラの配向を整えた組織をα単相域まで加熱してから再度フルラメラ化すると加工により制御された配向が失われる。これに対し，加熱をα＋γ二相域で行うと，フルラメラ組織化と配向制御が実現できる。（4）α＋γ二相域での加工と加熱処理により，配向が制御されたフルラメラ組織は，圧縮軸に平行にラメラ界面を配置すると，クリープ速度が，45°傾斜してラメラ界面が存在した場合の1/5以下となった。 本論文で見出したラメラ組織の配向制御技術が，クリープ特性の向上に有効であることが確認された。