石油脱硫廃触媒からのレアメタルの環境調和型分離回収プロセスの開発

摘要

石油脱硫触媒は活性成分としてMoS2，助触媒成分としてCoやNiをAl2O3に担持させたものである．この触媒は原油中に含まれているVやNiが触媒表面に付着することにより，活性が低下し廃棄される．廃触媒にはMo，V，Co，Niなどのレアメタルが含まれている．廃触媒からレアメタルを回収する技術としてソーダ焙焼法が工業的に稼働している．しかし，ソーダ焙焼法ではCoとNiは回収できないという問題がある．廃触媒からMo，V，Co，Niの同時回収が可能となるような環境調和型の処理プロセスの構築が望ましい．本研究では，石油脱硫廃触媒に含まれるMo，VCo，Niを効率的に再資源化する環境調和型プロセスの開発を目的とした·乾燥後の廃触媒に酸浸出を行うことにより，廃触媒中のMo，V，Co，Niを85％以上溶解させることができた．溶媒抽出法により浸出液からMo，VCo，Niを有機相に抽出分離した後，種々の金属を含んだ有機相に晶析剥離操作を適用することによりMo，V，Co，NiをそれぞれCaMoO4，NH4VO3，CoC204，NiC2O4として晶析·回収することができた．