ワイヤ電解加工の特性に最適なパルス波形に関する研究

摘要

電解加工法は電解反応を利用し，陽極側の金属を除去する加工法である．この加工法は金属材料の硬さによらず加工ができる，非接触で行うため工具消耗がない，また，バリやクラックが生じないといった利点があり，微細加工への応用が期待されている．しかし，加工精度の悪さが問題となり，微細加工には不向きとされている．加工精度を向上させるためには，直流電源の代わりにパルス電源を用いることが有効であることが知られている．しかし，この場合に工具が材料によって消耗するという直流による電解加工では見られない現象が生じる．加工中に工具形状が変化することにより所望の形状が得られなくなるため，高精度な微細電解加工を実現するためには工具消耗を抑制する必要がある．寺田らはタングステン工具の消耗を抑制する手法として印加パルスのローレベル電圧を上昇させることが有効であり，ローレベル電圧をある程度上昇させると加工精度が向上することを報告した．