小型軸流ファンの性能に及ぼす流入乱れの影響（障害物による乱れがファン特性と騒音に及ぼす影響）

摘要

送風機の空力騒音に関する研究は、これまで数多くの報告例があり、Sharlandは乱流騒音の発生原因として、(a)翼後縁からの渦放出によるもの、(b)流入乱れによるもの、(c)翼面上の境界層によるもの、の3種類を示している。 また、深野らの報告では翼後縁から放出される渦による騒音を独自の理論で解明している。 さらに、鈴木は2次元翼および実機ファンを用いてNACA翼のような厚翼について翼のそり等が乱流騒音に及ぼす影響について報告している。その他騒音を考慮したファン設計や騒音発生メカニズムに関する報告もされている。しかし、従来研究では送風機の上流に障害物を設けない場合がほとんどであり、電子機器用ファンのように障害物による流入乱れのある場合におけるファンの性能特性や騒音特性についての報告例はほとんどない。そこで本研究では、電子機器における冷却用として使用される小型軸流ファンを対象として、障害物による乱れが流入した場合における性能特性と騒音特性について、ファン径や回転数などの試験条件を変えて系統的に検討していく予定である。 今回はその第一ステップとして、最も市場で良く使用されており、汎用性の高いファン径が120mmの冷却ファンを対象にして実験的に検討したので報告する。