自動車排ガス汚染をめぐる関係主体の責任－「応責原理」に基づく被害者救済制度に向けて－

摘要

大都市部を中心に依然として深刻な自動車排ガス汚染は，複数の主体が構造的に絡み合って引き起こされた「システム公害」（宮本2008）である．こうした問題類型における被害補鰐等の費用負担について，筆者は，それぞれの関係主体の「責任ある関与」（responsible commitment）に基づき負担を求めるという「応責原理」の考え方が重要であると指摘した．本稿の課題は，「応責原理」の考え方に基づいて，自動車排ガス汚染をめぐる被害者救済制度の費用負担を考えるに際し，その基本的な視点を提示することである．