ソニー株式会社　ソニーシティ大崎--可変免震構造と「気化冷却ルーバー（バイオスキン）」を支えるステンレステンション構造について

摘要

JR山手線大崎駅の西側に2011年3月に竣工した当建物は「鋼構造高層免震」「気化冷却ルーバーのSUSロッドテンション支持」等の構造特徴を有する。本稿では主としてこれらの特徴に焦点をあて、その設計·施工の概要について紹介する。建物の規模（高さ130mを超える）からは、非免震でも周期3．5秒程度になるため中低層建物と比べて強震時のせん断力係数や応答加速度の減少が期待できるが、「免震構造」を採用することで更なる応答低減効果や建物自体の損傷低減が期待できる。一方、この規模でも採用例の多いRC高層住宅と比べると、鋼構造は「軽量」という特徴があり、加えて本件は「板状」建物であるため、風荷重の影響が大きいという問題が顕在化する。主題の一つは、鋼構造高層免震の耐風対策として可変ダンパーを用いた免震システムの設計概要である。東側外壁を構成するテラコッタ（素焼）ルーバーは、中に水を流し打ち水（蒸散）効果で周囲を冷やすことが期待されているが、いま一つの主題はルーバーを支持するステンレス鋼テンションシステムについての設計·施工の概要である。