体験的な「溶接と強さ」の話/その1 溶接が学問となる--溶接を学んだ不思議な縁

摘要

モノ（製品）をつくろうとするとき、単体で形状ができあがるモノは限られ、造形美や機能を求めるときには、何らかの異なるモノ（部品·部材）が組み合わされて造られることは自然の流れである。その時に、溶接という手段が使われる。金属の溶接の歴史については、専門書に詳しいが、紀元前30世紀頃には青銅器の接合が見られているという。アテネの考古学博物館を訪れたとき、地中海文明の青銅器が時代順に展示されていて、時代が下がってくるにつれ、青銅器の取手の付け方が、リベット継ぎから鋳継ぎ·ロウ付けの方に変わっていく様子がよく分かる。ただ、多くの観覧者は、そのことには気さえ留めていないであろうが。