6π系電子環状反応に基づく高性能フォトクロミックシステムの構築

摘要

筆者は，3年ほど前に本誌に総合論文を書かせていただいた。今回の総合論文はその続編ともいうべきものではあるが，少し異なる視点からまとめて，その後の展開を報告したい。フォトクロミズムとは，ある単一の化学種について，吸収スペクトルの異なる2つの状態の間の可逆的往復に光反応が関与している現象である（図1）。片道の光異性化反応は数多くあるが，それらとは異なり「可逆」であることによってフォトクロミズムが特徴づけられる。