Fe-Mn-Si合金の新用途展開－形状記憶から耐疲労制振ダンパーへ

摘要

本稿では，これまで形状記憶合金として活用されてきたFe-Mn-Si合金の新用途，耐疲労制振ダンパーについて解説する。第2章では，各種高Mn鋼の特性と変形機構をまとめ，その対比の中から生まれた新しい耐疲労制振合金の設計指針を述べる。第3章では，建築構造物の制振という，金属系構造材料の用途として比較的新しい分野において，どのような材料特性が要求されているかを解説する。第4章では，高Mn鋼を製造する際の共通の技術課題とブレークスルーについて，新制振合金ダンパーの作製経緯に沿って紹介する。第5章では，防災技術への社会要請の高まりを受けて取り組んだ共同研究プロジェクトの概要と新制振合金ダンパー実用化の経緯を記す。