クローズアップ－最近の溶射技術の適用：溶射技術の現状と未来

摘要

溶射法は成膜速度が速く，セラミックスから樹脂までの広範囲な物質の成膜が可能であるなどの長所を持つためその適用範囲は拡大の一途をたどっており，さらに近年，溶射法ではいわゆる“Cold Spray法”の開発に見られるように日々進化を遂げている。 これらの進歩によって溶射法の適用範囲は今後ますます拡大し，機器の高性能化，長寿命化に貢献できることは疑いの余地がない。 一方，機器の設計者にとっては，溶射法を知らないと重要な知見の欠如という状態にもなりかねず，ひいては他社の製品に劣る設計しかできなかったということにもなる可能性さえ想定できる。 そこで今回は溶射法の現状と将来展望について，かなり主観的ではあるが，筆者の見解をまとめてみた。 本誌の読者諸兄はもちろん溶射のエキスパートであるが，「溶射？ 言葉は聴いたことがあるが，よくわからない」という人にも読んでいただけるような内容とした。