クローズアップ－レーザ加工法の新展開：複合レーザによる二輪車フレームの溶接

摘要

アルミニウム合金製の二輪フレームは，材料の溶接が難しいため高い生産コストが問題点であった。 アーク溶接よりも高速·高品質な溶接が可能とされていたレーザ溶接を用いれば大幅な生産コストの削減が可能であると考えた。 同じ3kW出力のYAGレーザと炭酸ガスレーザについて，二輪フレームを構成するタンク下レール（写真1）の素材A5083-Oを用いて溶接特性を調査した。その結果，YAGレーザはタクトに合う速度で溶接できなかった。 また，炭酸ガスレーザ溶接では内部欠陥が多いため，溶接品質を満たせなかった。アルミニウム溶接に理想的なレーザの特性を一言で表現するならば，炭酸ガスレーザのような集光特性を有するYAGレーザに近い波長をもった3kWを超える高出力レーザである。 無論，ビーム·コストが安価なことも重要である。調査の限り，条件を満たすレーザ発振器は見つけられなかった。 そこで，既存のレーザを組み合わせて，アルミニウム溶接に適したビームに合成する研究を開始した。 具体的には，高出力の工業用レーザとして一般的なYAGレーザと炭酸ガスレーザを同軸上に複合して，アルミニウム合金の二輪フレーム部品を三次元溶接する研究である。