分散型熱物性データベースの開発(9)－データの品質管理

摘要

産業技術総合研究所では1997年より分散型熱物性データベースの開発を開始し、2003年の公開以来、安定的·継続的なデータベースサービスを提供してきた。データベースの公開開始後も、ユーザーの操作性向上や分散型コンセプトの実現、収録情報の高度化を実現するために、閲覧システムの改良に継続して取り組んできた。2008年にはAJAX技術を採用したWeb版閲覧システム(名称：TPDS-web/full)を公開した。TPDS-web/fullは日本熱物性学会熱物性データベースの閲覧システムにも採用されており、産総研分散型熱物性データベースとの横断的検索機能が実現されている。コンテンツ整備においては、毎年データを積み重ね、流体7,600件、固体3,100件、薄膜100件程度の合計10,800件程度の熱物性データを無償で公開中であるが、データベースへの収録に際して、物質·材料名の同定、物性値の単位変換などが適切に行われなかった場合には誤ったデータが収録されるおそれがある。このような誤りを検証してデータベースの品質を維持するためには、10,000件程度に達する多数データセットに適用可能なデータ検証方法が必要となる。データの検証方法は固体、流体において大きく異なるので両者を区分して取り扱い、2章に固体材料について、3章に流体についてのデータ評価に関する取り組みを記す。