四次元広角映像及び測量用ソナーシステムの開発

摘要

ここで、音響的手法を用いた水中視認に関わる基礎研究例は国内外ともに多数存在するが、確立された既存技術としてはナローマルチビームソナー、米国SOUND METRICS社製の音響ビデオカメラが有名である。ナローマルチビームソナーは一部の施工管理では既に用いられているが、後処理によるマッピングが必要であること、リアルタイムな面的視認はできず、船上での逐次判断には向かない。一方、音響ビデオカメラは、平面的な二次元画像のリアルタイム表示を可能とするが、視野範囲が狭く、高さの情報を持たないため、空間の視覚的把握が重要な土木用途では実用のための研究を要する。これらの機器比較は文献(8)に詳しいので参照されたい。これより、既存の装置では、港湾土木分野で使い勝手の良い、つまり人間の視野に近い三次元の空間を広範囲で視認し、同時に測量も可能とする機器は存在しない。そこで、著者らは広視野、三次元、リアルタイムを目指し、水中音響レンズを用いた四次元広角映像及び測量用ソナーシステム（Four-dimensional Wide-angle Imaging and Surveying SONAR、以下、略称：4-DWISS）の開発を行ったので、その一部を紹介する。本研究は国土交通省関東地方整備局による“東京国際空港再拡張事業基礎調査”の一環として行われたものである。