生物·医療応用を目指したナノダイヤモンド粒子のサイズ分離と表面化学修飾

摘要

筆者らは，"サノの領域"で研究活動を行っている。"ナノの領域"への道筋としては，"ボトムアップと"トップダウン"の2通りが存在する。筆者は，より小さな分子を扱う有機化学を専門としてきたことから，目線は常に下から上へ，すなわち，"ボトムアップの考え方である。我々の研究の目標は，ナノよりも小さな領域，すなわち，有機分子に対して用いられてきた有機化学の方法論を，"ナノの領域"に属する炭素材科，すなわち，ナノ炭素化合物，に適用することにより，ナノ物質を少し大きな有機化合物として扱うことができるようにする，というところにある。荒っぽい言い方をすれば，"有機化学でナノ炭素を制する"である。このような考え方に基づき，CNTを超分子（ホストゲスト）化学的な方法論により，選別することに成功した。また，上述したNDについては，有機合成化学的な方法論により，イメージングに有効な蛍光発光の機能を付与することに成功した。今後も，我々の強みである，有機合成化学，あるいは，超分子化学の学問背景を最大限に生かし，"ナノの領域"においてユニークな仕事をしていきたいと考えている。