燃料価格が2.3～10.1％も下がりマイナス調整が東北除く9社に拡大

摘要

4月に輸入されたLNGの価格が暴落した。3月に比べると，ドル建ても円建ても17％近く下がった。輸入量が3月の81％へ急減したことから，割高なスポット玉の輸入が減った影響と推測される。石炭の輸入価格は3月並みに収まったが，原油はドル建ても円建ても続騰した。為替はやや円安へ進んだ。しかし，2～4月平均の円建て価格でみると，LNGは前期を11.2％も下回ったほか，原油と石炭もそれぞれ4.3％，0.9％安くなり，燃料価格の下落基調は続いた。このため，10社の平均燃料価格は値下がりした。中でもLNGの使用比率の高い中央電力を中心に大幅な値下がりがみられた。東京と中部は4,600円／klも，関西は3,300円も下がった。4月で北海道が，5月で沖縄と四国が，6月で中部と北陸が基準値を下回る平均燃料価格を記寺していたが，7月では東京と関西，中国，九州も基準値を下回った。東北だけが基準値を上回り，7月でもプラス調整が続くが，9社はマイナス調整を行う。前1～3月平均に比べた平均燃料価格の値下がり率は2.3～10.1％に拡大したことから，7月検針分電気料金に適用する燃調単価の値下がり幅も低圧で8～105銭，特別高圧で7～100銭にもなり，産業用では割高な夏季料金でも6月より安くなるケースが続出しているほど。家庭用の支払額は6月から24～315円も縮む。翌8月検針分の平均燃料価格と燃料費調整単価はLNGの円建て輸入価格次第といえる。本誌ではやや反発すると予想したが，それでも3～5月平均は値下がりする。しかし，原油と石炭は値上がりするため，評価は分かれる。LNG続落の恩恵を受ける6社は値下がりし，受けられない4社は反発する。