原油市況高騰で需要期入り石油製品大幅底上げ待ったなし

摘要

原油市況の強基調が続いている。欧州を揺さぶっている債務危機は，11月7日のギリシャの首相辞任と大連立樹立で当面の危機は避けた。財政危機のイタリアでも13日に財政安定化法成立後に首相が辞任し，新首相のもとで財政再建に乗り出す方向がみえてきた。欧州債務問題の当面の緩和と需要期入りで原油市場への投資が回復しつつあるようだ。すでに原油市況は10月中旬から欧州債務危機の解決期待などで騰勢基調を強めていた。これを受けて国内市場では先物市場や海上スポット市場の取引価格が反騰し，陸上スポット市況も10月後半からジリジリと値を上げてきた。元売週決め仕切も10月15日からほぼ一貫して小幅の値上げ通知がなされ，11月12日の値上げまでの上げ幅累計は4円／l前後に達しているが，上げピッチは11月に入って一段と加速してきた。しかし，国内石油製品市場は，ガソリンなどのSS販売価格が需要不振の中でコスト転嫁が足踏みしており，産業用中間三品市況も安値玉の放出が続いて10月前半値決めまで下げ続け，10月末の11月分先決め価格の値決めでやっと1円／l前後値上げできた状況。陸上スポット市況は需要期を前にまず灯油が，続いて軽油が急騰し，11月中旬入りからは需要不振で底値が続いていたA重油も大幅に上げてきており，大幅なコストアップを伴った需要期入りとなっている。SSから産燃油まで大幅底上げは待ったなしだ。