円高効果で10社揃って値下がり続く10月の為替換算レートが史上最高値

摘要

電気料金は10社とも，来年1月検針分でも値下がりする。10社揃っての値下がりは11月分から3カ月連続。今回の値下がりは史上最高の円高による贈り物。10月分の円建て輸入燃料価格が判明した11月29日，電力10社は1月検針分の電気料金に適用する燃料費調整単価などを算出，発表した。8～10月に輸入·通関された燃料価格は，ドル建てでは前期と大差ないが，10月の為替換算レートが史上最高値の83.44円／ドルへ進んだことから，3カ月平均値は前期から2.1％の円高へ進み，円建てでば原油もLNGも石炭も値下がりした。この燃料価格で算出した各社の平均燃料価格は10社とも料金改定時の基準値を引き続き下回っているほか，前7～9月平均より安い。この円高効果が1月検針分の電気料金に反映する。前期に比べた燃料価格の値下がり幅は，原油が1.8％，LNGが2.7％，石炭が2.2％となり，原油の値下がり幅が少ないのはドル建て価格が上がったため。10社の平均燃料価格は，前期に比べ1.7％（北海道）から2.5％（中部，九州）の幅で値下がりする。家庭用料金の1月分支払い額では，15円（四国）～44円（東京）の小幅な値下がりにすぎないが，改定時からの値下がり幅は72円（北陸）～540円（東京）と拡大するほか，地域の差も大きくなっている。なお，特高料金で試算した前月からの値下がり率は，0.6％（四国）～1.6％（東京）など1％前後になる。改定時の単価と比較した値下がり率は北海道11.2％，東北9.6％，東京16.8％，中部3.6％，北陸2.7％，関西7.8％，中国9.2％，四国6.2％，九州5.5％，沖縄11.0％となり，北海道と東京，沖縄では二桁安の状態が続く。9～11月の通関価格が反映する翌2月検針分の料金も小幅ながら値下がりする可能性がある。史上最高値を更新する11月の円高がきく。ただ，ドル建て価格の値上がりが確実な原油に連れ高しそうなLNGと石炭の動向によっては，期待される円高効果は生まれず　値上がりに転じる会社が出てくる。