上期の電力販売量は過去最高へ増大産業用は記録に届かず下期に不安が

摘要

10電力が今年度上期に販売した電力量は臥8％もの驚異的な伸びを記録した。また，販売量は4,583億kWhで平成20年度上期の4,561億kWhを20億kWh超える過去最高となった。しかし，下期は著しい鎮静化傾向が予想される。上期に記録した9％に近い大幅な伸びば，リーマン·ショックで激減した産業用に続いていた単純な反動増と，歴史的な猛暑の到来で冷房関連需要に発生した驚異的な伸びが重なった結果で，販売量の用途別中身には下期の鎮静化傾向が透けてみえる。販売量のうち小売が自由化されていない電灯·電力は1,709億kWhで前年を9.9％も上回り，18年度上期の過去最高1,608億kWhを100億kWhも上回った。この猛暑効果による民生用需要の底上げが，販売量記鐸更新の背景だったのである。一方，小売が自由化されている特定規模需要は2,873億kWhで，伸びは8.2％と民生用に劣らないが，20年度上期に記録した過去最高の2,976億kWhを100億kWh下回っている。このうち民生用需要に近い業務用は1,080億kWhで3.6％増と伸び率は小さいが，19年度上期の記録1,061億kWhを更新した。しかし，産業用その他は1,794億kWhで伸び率こそ11.1％と突出しているが，20年度上期の1,917億kWhを120億kWhも下回った。産業用が大半の大口電力は，リーマン·ショックが発生した翌月の20年10月分から前年割れを始めた。100年に一度とまでいわれた世界同時不況に直面したが，九電力の大口電力ば翌年12月分で浮上し，連続前年割れは14カ月という短期間で終わった。その後はこの9月分まで二桁の反動増が9カ月も続いた。しかし，ショック前の水準をついに回復できなかった足取りなどに下期の苦戦が予想される。