円高，原油安で下げ局面入り必至～官公需四半期入札にみる価格推移～

摘要

原油市況はWTI先物9月物終億が8月2日の82.55ドル／をピークにその後下げ続け，20日には73.46ドル／まで下げた。10月物となってからは24日の71.63ドル／を底に少し反発してはいるが，大幅反発の条件に乏しい展開が続きそうだ。日本の入着原油価格の指標となるドバイ原油も同様の展開を辿っており，東京市場終値は8月4日のピーク78.9ドル／バーレルから下げ続け，24日に70.3ドル／をつけた後，やや反発している。アメリカ経済の回復が立ち往生している中，原油の在庫統計が増えるたびに需給緩和感が強まって安値に向かう傾向となっているようだ。為替レートの方は84円／ドル台をつけるという15年ぶりの円高になっている。借金財政大国日本の円が買われるのは，低金利のドルが原因だ。ドルを手持ちに他の通貨にトレードするドル·キャリー·トレードが世界的規模で広まっている。日本の国債も当面は値下がりリスクの少ない資産として中国などが買っている。なんとも危うい国際金融情勢だが，リーマンショックから2年が経っても世界経済の枠組みシフトは依然進行中で，新秩序模索の中で為替レートも原油市況もまだまだ不安定な状況が続くだろう。当面は急激な円高と原油安だが，下期入りを待たずに国内石油製品市況は反落必至の情勢だ。