LNG価格高騰で各社「増収減益」都市ガス大手4社の23年3月期中間

摘要

東京，大阪，東邦，西部の都市ガス大手4社が発表した平成23年3月期中間決算（連結）によると，ガス販売量の増加で売上高は伸びたものの，原材料費の高騰による売上原価の増高で4社揃って「経常減益」を余儀なくされた。このところの都市ガス各社の業績は，ガス販売量の変動や輸入LNG価格の上げ下げで毎年異なった様相を示している。このうち，ガス販売量の変動は，昨年上半期など一昨年秋に発生したリーマンショックの影響で工業用が大幅にダウン。他の用途も押しなべて前年比マイナスという惨状で，4大手平均のガス販売量は前々年比10.0％の減少という信じられない落ち込みだった。当中間期はその反動もあって平均で7.4％増と逆に大幅な増加を記録（表①参照）し，売上高を大きく押し上げた。一方，輸入LNG価格は昨年上半期がトン当たり3万6千円～3万9千円台だったのに対して，今年上半期は4万8千円～5万4千円台と大幅にアップ。当然，売上原価が大幅増となり当中間期の経常減益につながったわけだが，ここで増収だ，減益だと大騒ぎをしても所詮は前の年との関係もあり相対的なもの。つまり，前年実績に対しての反動が業績に大きく影響していることを考えれば，むしろ都市ガスなどリーマンショック発生前の一昨年上半期との対比を考えた方が実勢がよく理解できるかもしれない。そのことば後述するとして，リーマンショックの影響からかなりの回復具合をみせてきた都市ガス大手4社は，適期については2社ずつ経常増益と減益に分かれており，なお不安定な事業経営を余儀なくされている。