2020年「次世代SS」に向け始動

摘要

電気自動車（EV）等の将来の普及を見据えた全石連の「次世代自動車対応SSの将来像を考える研究会」（座長·久留島守広東洋大学教授）の初会合が10日開催され，SS関係者ら多くの傍聴者が詰めかけた。元売，商社，電力などのエネルギー関連，自動車，総合電機，金融，ゼネコンなど，電気自動車をとりまくすべての業界と有識者が参加した同研究会は，ハイブリッド幸（HV）や電気自動車の加速度的普及を想定し，ガソリン販売に代わる次世代SSの具体像を確立するのが狙い。新エネ分野などで成長戦略を描く元売に対抗し，SS業界も早急に方向性の確立が必要との危機感から立ち上がった同研究会は年末まで3回開催し（次回は11月20日），報告書をまとめる。初会合で出された2020年の予想図は，全車両の2割がHVやEVなどの「次世代車」に置き換わり，ガソリン販売量は現状の3割減，4,100万klになるというもの。温暖化ガス25％（90年比）削減という鳩山民主党政権の登場で，AVやPHEV（プラグイン·ハイブリッド車）の市場投入が早まり，石油需要の更なる下方修正は必至。自動車分野においても，脱石油燃料の流れは決定的になったといえる。こうした中，始まった初会合では，次世代自動車の普及見通しや石油需要見通しのあと，専門家が充電インフラの発展シナリオを説明，自動車メーカーや電力会社がそれぞれの見地からプレゼンを行った。意見交換では，「SSの商売敵は様々な施設に設置される充電インフラでなく，各家庭の充電」，「SSを巻き込んだ充電インフラネットワークの構築を」，「急速充電器を設置すれば工事費込みで約1千万円の投資が必要。コンビニはさはど乗り気にならない」などの指摘や，充電にかかる課金システムのあり方などが俎上にのばった。燃料油販売に比べると，小さな売上げにすぎない充電サービスがビジネスとして成立するのか，といったそもそも論から，この議論はまだ入口に立ったばかりだが，国の実証事業等を通じて，システムや制度上の課題は浮き彫りにされ，次世代自動車は充電インフラとワンセットで，実用化に一歩一歩近づいている。今回は同研究会の初会合でもテキストとして使われたエネ庁の「次世代SSに関する動向調査」事業報告書（今年3月編纂）から，次世代自動車と充電設備等の現状と将来見通しを紹介してみたい。