HS 3.0％89,550円，15,950円上げ原油バブルによる歴史的な高値か

摘要

新日本石油が王子製紙と進めてきた7～9月分のHSC重油価格交渉は期中決着ギリギリになって合意，新日石は9月26日（金），HSC重油のS分1.6～3.0％間の決定価格を発表した。 一方，東京電力との上期分LSC重油価格交渉は期中決着とはいかず，10月以降に持ち越された。 合意したS分3.0％の一般向け価格は89,550円／kl（支払いサイト60日，京浜湾内平水船1,000klロット持ち届け価格）で，4～6月分からの値上がり幅は15,950円と大幅。しかし，原油相場の急反落によって仕切基準価格からは3,650円も縮まった。 金利（短期プライムレート）は変わらないが，合意価格の底上げに伴って30日分の支払条件格差が150円に拡大したことから，支払いサイト30日向けの決定価格は一般向けより150円安い89,400円に，値上がり幅は15,900円になる。7～9月分の交渉で合意した原油CIF価格は128.200ドル／バーレルで，130ドルに接近する異常なレベル。 人類によって構成される世界の経済や裡会秩序などを全く無視した，自己中心的な利ざや稼ぎの場と化したNYMEXの先物市場で，実体経済から遊離したWTI原油の相場が爆走した結果だ。 こうした市場形成を許している米国の価値観に問題があると常々訝っていたところ，住宅バブルが崩壊，サブプライムローン問題が表面化，世界の金融界を巻き込みながらも，米国は自業自得の苦境に直面している。 原油相場もバブルである。利ざや稼ぎを本業と錯覚した生き様に気づかない限り，米国は奈落の底へ落ちていくだけであろう。今期10～12月分は4～6月分に逆戻りしそうなコスト状況にあることから，7～9月分が歴史的な高値として語られ，今後は下落することを期待したい。