何が原油を80ドルに急騰させたか

摘要

とうとう原油WTIが80ドル／バーレルを超えた。 2005年秋のハリケーン·カトリーナ襲来から原油はいつ80ドルを突破しても不思議はない状況が続いていたが，77～78ドル台が壁になってそれ以上には至らなかった。 それがついに80ドルだ。 超えてみればいとも簡単だったかのようにみえる。 しかし，今回の80ドル超はいろいろな悪条件が重なった結果である。 まず何といってもサブプライム間軌こ端を発した株式·金融危機が投機·ファンド筋のより安全な投資先として石油市場を選ばせたことだ。 投機·ファンド筋の投資といっても彼らはヤミクモ投資を行うわけではない。 市場動向を読んで儲かる先にしか投資しない。 とりわけ，年金ファンドなどの投資は慎重を極める。 運用を誤り損失を発生させようものならたちどころにそのトップは四半期か数カ月で更迭される。 先高が確実で流動性があり利ざやが稼げる市場への投資が行われる。 その額が大規模になるだけに，その商品に買いが入ると上げ幅が増幅されるし，引き上げる際には下げ幅が大きくなる。 彼らはまずは慎重に石油市場のファンダメンタルズから市況の先行きをみる。 時に「石油の市況は思惑で決まる」とあたかもファンダメンタネズと隔絶した世界で市況が形成されるかのごとく吹聴する暑がいるが，無見識もいいところである。 サブプライムローンで一敗地にまみれたあるいはその危機を感じ取ったファンドが，確実な投資先として選択した石油市場のファダメンタルズは現在どうなっており，先高観がどう支配する市場だったのか，そこを検証しておく。