溶融Fe-Cu-C三元系合金の相平衡

摘要

石油コークスは、国内で年間約40万トン、全世界で年間約5000万トン生産されている原油精製過程の副産物であり、製鉄用コークスと同等もしくはそれ以上の高い熱量を有する。その反面、硫黄含有量が数％と高いことが特徴であり、エネルギー源として利用する場合には、脱硫装置が不可欠である。そこで硫黄吸収能が大きいと予想されるFe-Cu合金浴を用い、石油コークスのような高硫黄化石燃料を系外に硫黄を排出することなくガス化するプロセスが提案されている。 このプロセスにおける合金浴の基本系はFe-Cu-C－S四元系であるが、本系合金の高温での熱力学的情報は未だ不明である。本研究では、最適な条件でガス化を行うために必要不可欠な情報である本四元系合金の熱力学的性質を解明することを最終目的としており、今回はそのターミナル三元系のひとつである溶融Fe-Cu-C三元系合金の熱力学的性質について検討したので報告する。