Fe基合金における規則化と磁気変態の相互作用効果の熱力学的解析

摘要

強磁性元素であるFe，NiおよびCo基の合金においては，規則相と不規則相ではその磁気特性が大きく異なり，原子配列の規則化が磁気特性に影響を及ぼすことが知られている。 従って，規則化と磁気変態が同時に出現する場合には,2種の変態による複合効果によって，相平衡は複雑な挙動をとることが予想される。特に，珪素鋼板（Fe-Si），アルパーム（Fe-Al），センダスト（Fe-Si-Al），パーマロイ（Fe-Ni），アルニコ（Fe-Ni-Al-Co）など磁性材料として実用に供されているFe基合金は，2種の変態が同時に出現するため，磁気特性に多大な影響を及ぼす相平衡や規則度などの変化を定量的に把握することが重要である。この様な実用磁性材料の相安定性を実験だけで決定する手法には限界があり，理論的な計算による相平衡の定量的な予測手段の開発が望まれている。 本研究では,Ni,Co,Al,Siを含むFe基合金について，規則化と磁気変態の相互作用効果を定量的に評価して，Fe基合金の熱力学的解析を行うことを目的とする。