異方性降伏条件式による鋼板の塑性変形挙動のモデリング

摘要

塑性力学解析において，金属材料の変形特性を律則するものは降伏条件式と硬化則である．したがって，金属板材の成形シミュレーションにおいて，実現象の予測精度を高めるためには，実材料の変形挙動を可能な限り精度よく再現できる異方性降伏条件式と硬化則を剛、ることが必要である?たとえば，板材の成形限界の計算値は，異方性降伏条件式に大きく影響される~1）～4）?また，曲げ応力に起因するスプリングバック現象は板材の加工硬化特性の影響を受けるから，スプリングバックの予測精度も計算に用いる異方性降伏条件式に依存する~5）。 者らは既報~6）,7）において，r値の異なる各種鋼板の二軸引張試験および結晶塑性解析を行い，その塑性変形特性を明らかにした。本報では，それらの実験値に基づいて，鋼板の塑性変形特性のモデリングに適した異方性降伏関数を検討したので報告する．