微量の硫黄を添加したステンレス鋼の1273Kにおける1800Ks間酸化

摘要

耐熱合金における高温耐酸化性は合金表面に緻密なAl_2O_3またはCr_2O_3皮膜を生成することにより保たれる。 しかしながら,これらの酸化皮膜は冷却過程においてしばしば剥離する。 酸化皮膜の剥離は冷却過程における酸化皮膜と合金の熱膨張係数の差異，酸化皮膜／合金界面に偏析する硫黄の影響であるともいわれている。 著者らはすでにAl_2O_3生成ステンレス鋼に微量の硫黄を添加し，それらの合金の高温耐酸化性を調べ，酸化皮膜の密着性は硫黄添加量，酸化温度，酸化時間，サイクル数等によって影響されることを明らかにした。 本研究ではFe-20Cr-4Alに微量の硫黄を添加したステンレス鋼を作製し，1273Kにおける長時間の高温酸化実験を行った。 酸化による硫黄の挙動と酸化皮膜の密着性との関連性について明らかにした。