たたら製鉄炉地下構造の役割と歴史的変遷

摘要

「たたら」製鉄法は炉融1.2mの箱型炉で、江戸時代中期には銑と鋳を造り分けていた。 その地下構造は靖国鐘（たたら）でほ、深さ273cm（9尺）、幅485cm（16尺）、奥行き366cm（12尺）の長方形の穴の底に深さ61cm（2尺）、幅61cm（2尺）の排水溝があり、下から荒臥坊主石、砂恥木炭、粘土層（小舟かわら）が重なっており、「床釣り」と呼ぼれる0その上部構造は「本床釣り」と呼ばれ、中心に本乳その両脇に小舟と呼ばれる空洞が造られている。 本研究では、この地下構造の役割を熱流と水分の流れの観点から解析し、この地下構造の発展を歴史的に調査した。島根県飯石郡横田町で毎冬季操業を行っている「日刀保たたら」の小舟中に温度9湿度計を設置し、操業中の温度、温度を連続測定した。 一方、本床と土居（炉床）の試料を採取し、見かけ密度、含水量、熱伝導度、比熱を測定した。 これらのデータを用いて、有限要素法により地下構造における熱流と温度分布を計算した。 さらに、中国地方における6世紀後半からのたたら炉の地下構造を比較した。