ガイドラインの適用による耐性菌対策

摘要

日本呼吸器学会成人市中肺炎ガイドラインは,感染症診療における国民福祉の向上と医療の均質化とともに我が国の耐性菌対策の実施を大きな目的としている.我が国は,世界的にみれば薬剤耐性菌の分離額皮の多い国である.例えば院内感染症として代表的なメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の黄色ブドウ球菌に占める頻度は, 60%前後であり,オランダにおける1%以下と比べると格段に多い.市中呼吸器感染症の原因細菌としては,肺炎球菌が最も高頻度に分離されるが,我が国のマクロライド耐性率は80%,ペニシリン耐性率は60%と欧米の諸国に比べ高い割合である.この傾向は韓国,香港などのアジアの国や地域に共通である(図1).