種々の化学混和剤がモルタルの強度発現性および空隙構造に及ぼす影響

摘要

セメント硬化体の耐久性を論じる上で、塩化物イオンや炭酸ガスといった劣化因子の通り道となる空隙構造を把握することは、きわめて重要なことである。 そのため我々は、コンクリート用化学混和剤（以下、単に混和剤と称する）の分散性や凝結特性等の混和剤特性が、セメント硬化体の空隙構造に与える影響について検討を行っており、コンクリート材料として分散性の違いが、セメント組成物の空隙構造形成に影響を与えている可能性を報告している。本報告では、混和剤の添加量を一般的な添加量および、添加した影響をより顕著に受けると考えられる過剰添加量域にいて、モルタルの圧縮強度、結合水率および空隙構造の測定を行った結果、混和剤を過剰添加することにより、モルタルの空隙構造が異なり、強度発現性に影響を与えることが明らかとなった。 特に分散性の高いポリカルボン酸系分散剤を過剰添加した場合には、その卓越した分散効果により空隙構造は緻密化し、同じ結合水率での圧縮強度が高くなることがわかった。