ノードの中心性を利用しエンドエンド間の遅延を考慮する複数経路表を用いたルーチング手法の提案

摘要

インターネットにおいて，音声通信の需要が増加している．固定電話と同等の品質クラスの音声通信は，エッジノードからェッジノードまで（ェンドエンド間）の遅延の上限が150msとされている．そのため，遅延の要求が厳しいリアルタイム通信に対し，QoS（Quality of Service）を保証する経路制御手法の実現が求められている．筆者らは，このような要求に対し，複数の経路表を用いるルーチング手法を提案した．この提案ではリアルタイム通信用の経路と非リアルタイム通信用の経路を分けることで，リアルタイム通信に発生する遅延を低減できることを示した．しかし，経路を設定する際に，ノード番号を基準に最小全域木を計算するため，ネットワークの構成によっては，設定される経路のホップ数が多くなるという問題があった．そこで，この問題点を解決するため，経路を設定する際に，ノードの中心性を指標として最小全域木を求め，経路を構築する方式を提案した．計算機によるシミュレーション評価の結果，提案手法は，ノード番号を基準とする手法と比較してエンドエンド間の最大ホップ数が低減できるため，エンドエンド間の遅延時間が少なくできることを確認した．