時間変化の影響を考慮したDependency Graphによるモバイル機器のための障害箇所特定方式の提案

摘要

近年，CDMAやWi-Fi，WiMAXなどの複数のネットワークに接続可能なインタフェースを持ち，利用者によってネットワークソフトウェアの追加·削除などのカスタマイズが自由なモバイル機器が普及している．モバイル機器は，ネットワークインタフェースを切替えながら利用者に様々な機能を提供する．例えばブラウザなどのネットワークソフトウェアは，OS，無線ドライバ，無線インタフェース，ルータ，ゲートウェイなどを経路し，Webサーバに接続する．経路上のそれら構成要素の組合せは，ネットワークインタフェースの切替えにより時間変化する．インターネットへ接続できないなどの障害が発生した場合，障害箇所を特定する必要があるが，モバイル機器のカスタマイズ性と，構成要素の組合せが時間変化するため，障害箇所を特定する手順が複雑化し困難となる．従来，障害箇所の特定を目的とする研究があるが，前述の特徴から適用が困難である．そこで本稿では，構成要素の組合せが時間変化する場合でも，障害箇所を特定する新たな方式を提案する．提案方式では，モバイル機器の構成要素を監視するエージェントと，各構成要素の出力するログから，ある時間における構成要素の組合せを分析する構成要素分析するサーバを新たに導入する．エージェントが構成要素の組合せの時間変化を検知し，時間変化する構成要素の組合せを予め分析して保持することで，障害箇所の特定を行う．最後に本方式について定性評価する．