高速移動体のためのハンドオフメッセージ数を最小化した高速ハンドオフ手法

摘要

現在車や電車内部から移動端末(MN)を用いてインターネットを利用する手法としてNEMO (Network Mobility)を用いる手法がある．NEMOでは車内にモバイルルータ(MR)を一つ，道路や線路沿線にアクセスポイント(AP)を複数設置し，MNはMRとAPを介してインターネットに接続する．NEMOではMNの通信相手(CN)からのパケットは全て特定のルータ(HA-MR)を経由するのでトラヒックが集中しパケットロスの増加及びスループット低下という問題点がある．本論文では，この問題点を解決するためにNEMOにHMIPv6 (Hierarchical Mobile IPv6)を適用しMAPの機能を拡張した上で新たなハンドオフ手法を提案する．まずMRとMNのアドレスを管理する複数個のMAPをインターネット網とAPの間に設置する．CNからのパケットはこれらのMAPを経由してMNに送信されることでトラビックを分散される．その上MRがAP間をハンドオフする際に，事前に隣接するMAP間でMRとMNのアドレスを通知することでMNがCN及びMAPに対してBUメッセージを送信せずにすみBUメッセージ数を最小化する．OPNETを用いたシミュレーションを実行しNEMOと比較してパケットロスが最大80［％］削減でき，スループットは2倍以上増加し本手法の有効性を確認した．