LEO衛星IPネットワークにおける輻輳予測を用いたトラヒック制御

摘要

低軌道(LEO: Low Earth Orbit)衛星ネットワークは送受信に必要な電力コストが少なく，地上端末の小型化，モバイル化が容易であり，伝搬遅延が短いといった特長があるため，モバイルネットワークの構築に有効である．LEO衛星ネットワークは地球全域をカバーしているが，地形や人口の不均一な分布により，ネットワーク利用者の分布にも偏りがある．この偏りにより，トラヒックが特定の地域をカバーしている衛星に集中し，輻輳状態に陥る可能性がある．従って，トラヒックが集中しやすい地域をカバーしている衛星の負荷を分散する必要がある．一方，LEO衛星の位置は軌道から算出することが可能であるため，衛星が負荷情報を交換し合うことでカバーする地域の負荷状況が予測できる．そこで，本稿では，トラヒック分布の偏りによる輻輳発生を抑制するため，輻輳予測を用いて負荷分散を行うトラヒック制御方式を提案し，シミュレーションによりその有効性を確認する．