21GHz帯放送衛星システムの送信電力の検討～R0.01降雨量データによる降雨減衰量と送信電力の関係

摘要

スーパーハイビジョンや立体HDTVなど次世代の伝送メディアの1つとして21GHz帯衛星放送システムを検討している．21GHz帯では降雨による電波の減衰が大きいため，降雨減衰の補償技術が必須である．筆者らは，衛星搭載アレーアンテナを使用して，強い降雨が生じている地域への電波を増力するアンテナ放射パターンを形成することにより，効率的に降雨減衰の補償を行う放送衛星システムの研究を進めている．ここではまず，降雨減衰による信号劣化の要因とアンテナ放射パターンによるその補償方法を示す。 つぎに，日本国内80箇所のR0.01降雨量データを基にして，降雨減衰による年間の遮断時間率が0.1％以下となる回線マージンを得るのに必要なpfdを示す．さらに，チャネル帯域幅約200及び300MHzとした場合の送信電力を示す。 変調方式QPSK3/4とした場合，チャネル帯域幅約200MHzでは最大アレー素子出力31Wの送信電力1.4kWの給電アレー，チャネル帯域幅約300MHzでは最大アレー素子出力46Wの送信電力2.1kWの給電アレーを使用することにより，80箇所全ての地点における降雨減衰の補償が可能であるごとを示した．