超精密·微細加工を支える周辺技術：ナノメートル制御と超精密加工におけるスケール

摘要

近年，携帯電話に搭載されたデジタルカメラや，液晶のバックライトの導光板など，光学部品の生産数量が大幅に増加した．また，性能の追求やモデルチェンジにともない，外形やその微細形状が常時変更されるようになったため，光学部品の金型生産数量が伸びてきている．さらに部品の大型化と形状の複雑化により加工時間が延びてきているため，非球面レンズ加工機に代表される超精密加工機の生産数量は飛躍的に伸びてきた．また，加工時間の延びは，顧客のスループット向上の要求にも繋がり，ここ数年の超精密加工の分野では，加工速度が追求され，大型の導光板加工機などではナノメートル分解能で1m/sもの高速移動が要求されるようになってきた．一方，速度の追求の陰に隠れ，加工精度の開発は一服していたかのようにみえていたが，今後，さらなる加工形状と表面粗さの向上が要求されていくと考えている．その理由は，光ディスクなどの情報記録装置の記録密度が増加することと，線幅縮小のロードマップに従い，半導体露光装置が大きな変化の時期にさしかかるためで，光学部品の精度要求は飛躍的に上っていくものと考えられる．本稿では，ますます発展する超精密加工機の今後の開発における，位置制御方式の検討の一助とするため，必要とされる測長器の性能と特徴についてまとめ，例として，ソニーマニュファクチュアリングシステムズ㈱のレーザスケールの性能について紹介する．