交通騒音·振動－道路交通騒音

摘要

戦後の高度成長期には高速道路の建設が進み，交通網が急速に整備された。そのおかげで生鮮食料品はもちろんのこと，産業物資から日常品に至るまで，全国津々浦々に届き，我々の日常生活を便利にしてくれている。一方，その便利な道路の騒音が，昭和40年代に公害問題として顕在化したことは，誰もが知るところである。人の生活を便利で豊かにするテクノロジー（技術）が，皮肉にも人間疎外を導いたという結果を招いた。日本騒音制御工学会は，そのような時代の中で設立された。人の生活環境の保全という立場から，研究者·技術者·行政者が集まって，「技術」が産んだ人間疎外を「技術」で解消するのが目的である。この学会も設立されて40年経過する。筆者は交通騒音·振動のうち，道路交通騒音に対する取り組みについて書くように指示されているので，この間の記憶を頼りに書いてみたいと思う。ただし，記憶には脱落しているものもあるため，多少，信頼性が低いところもあることはご容赦願いたい。