風車騒音の低周波成分の可聴性に関する聴感実験

摘要

近年，再生可能エネルギーの一つとして風力エネルギーが注目され，わが国でも風力発電施設の導入が進んでいる。これに伴い，周辺地城における環境騒音問題が指摘され，住民の健康影響が懸念されている。風車騒音の問題は，一般に低周波音による聴覚·心理的影響として議論されているが，風力発電施設から発せられる低周波性騒音が健康に及ぼす影響については現時点において明らかとなっていない。筆者は，平成22年度から3年間にわたり実施された環境省戦略指定研究において，実測調査および社会反応調査と並行して行われた一連の聴感実験を担当した。実験室実験にも限界はあるが，実験条件の変更が比較的容易であり，再現性も考慮できる点で有用である。本稿では，風車騒音に含まれる低周波数成分の可聴性に関する聴感実験の結果を報告する。