音響·振動に基づく最近の故障診断技術

摘要

回転機器は設備を動かすための基本的な装置であり，モーター·コンプレッサ·ポンプ·ファンなどが保全対象となる。 化学や鉄鋼などの大規模なプラントでは数千台の回転機械が常時稼動しており，保全員が24時間体制で監視している。 回転機械の故障は，大きく分けて，ベアリングやギア故障などに代表される磨耗系故障と，アンバランスやミスアライメントなどに代表される構造系故障がある。 磨耗系故障は文字通り部品の磨耗によるものであり，数kHz以上の比較的高い周波数の振動が発生する。 この前兆を捉え，故障直前に部品交換を行うことが設備保全の大きな目的となっている。それに対して構造系故障は，数百Hz以下の低い周波数の振動が発生する。 放置しておいた場合，ベアリングやギアなどに慢性的な大きな負荷がかかるため，機械寿命を縮めてしまう。 構造系故障を早期に発見し対策することは，磨耗系故障の対策にも繋がる。 本稿では，この回転機器に関する音響·振動に基づく新しい故障診断技術を紹介する。