先端改良型遮音壁

摘要

自動車や鉄道といった地上を走る交通機関から発生する騒音に対して，最も一般的に行なわれる対策のひとつに遮音壁の設置があげられる。 音響的な遮蔽効果だけでなく，音源自体が視覚的に見えなくなるという心理的な効果もあり，交通騒音対策以外の様々な状況にも遮音壁が用いられている。 音響的な遮蔽効果について考えれば，遮音壁の高さに比例して効果は増加する。 しかし，遮音壁が高くなれば，周辺の景観や日照への影響，遮音壁基礎工に対する重量荷重の増加，面積増加による対風荷重の増加などの問題が生じる。 このような背景から，遮音壁の高さを抑えたまま遮音性能を向上させる技術へ期待が集まっている。 こうした需要に対し，「先端改良型遮音壁」と呼ばれる各種装置の開発が盛んに行なわれているのは周知の通りである。 先端改良型遮音壁の実用化が始まってから20年前後が経過し，開発が進むにつれ，近年は複雑な構造を持っものも多くなってきたように思う。 そこで本稿では，各種の先端改良装置について，滅音の原理によって分類しながら紹介する。 なお，先端改良型遮音壁の概説については本誌を含む各誌でたびたび特集されているのでそちらも参照されたい。