福島事故後の規制制度の改革と今後の課題：原子力規制委員会設置法の趣旨は実現されているか

摘要

事故後の夏に，民主党政府内で規制組織を見直す機運が高まり，環境省のもとに規制機関を置く案が出され，これに対して，当時，野党の自民党と公明党が対抗法案を出し，この自公案を基本として，現在の原子力規制委員会（以下，委員会と略す）は作られた。本稿では，原子力規制委員会設置法（以下，設置法と略す）の成立経緯が複雑であったことから，これに解説を加えると共に，国会における主要な論点を紹介し，更に，設置法のねらいが実現されているか検討する。