ガンマ線の高感度分析法の開発に邁進

摘要

γ線測定は放射性核種を同定する手段として，原子力研究を中心として多分野で用いられている。 特に近年，放射化分析手法が開発されてからは，宇宙地球科学，考古学など学術分野から，環境，医療，食品安全性など広い分野で用いられてきた。しかし，分析対象の拡大とともに，より高分解能の検出法が必要とされるようになった。筆者らは多くの放射性核種が複数のγ線を同時発生することに着日し，これらのγ線を同時測定して得られる2次元マトリクスを，従来の1次元スペクトルの替わりに解析して元素定量する手法を開発した。 この多重γ線検出法は従来の機器を使いながら，分解能と感度をそれぞれ1，000倍改善することを可能にする技術であり，今後，広い分野への応用が期待される。本報では，その発案から実施，分析法の高度化を含めた今後の展望をまとめた。