コンプレッサ開発におけるシミュレーション技術：空調用コンプレッサの高性能化に伴う潤滑解析技術の進展

摘要

ロークリコンプレッサは商品化されて以来，すでに40年以上が経過しているが，現在なお，ルームエアコン用のコンプレッサとして広く普及している．1980年代初頭にはインバータ制御による可変運転が始まり，1990年代に高効率のツインロータリ式が登場するなど，ロータリコンプレッサは常に高品位に進化してきた．また，オゾン層保護を目的に冷媒をR22からR410Aに変更した際には，信頼性確立のため，圧縮機構で起こる現象を改めて調べ直すという，基礎からの再開発を経験している．さらに現在では，地球温暖化防止のための省エネルギー化が課題となっており，圧縮効率，あるいは機械効率の向上のための技術開発が絶えず行われている．このような過程において，機構の最適設計，信頼性評価などを担う数値シミュレーション技術は，その都度，重要な役割を果たしてきた．ここでは，ロータリコンプレッサの進化とともに発展させてきた軸受の潤滑解析技術について紹介する．