コールドチェーンを深く考えるための事例：コールドチェーンの設備·機器の事例

摘要

農産物のコールドチェーンは，1965（昭和40）年に科学技術庁·資源調査会から出された「食生活の体系的改善に資する食糧流通体系の近代化に関する勧告」通称「コールドチェーン勧告」を契機として，農林水産省主導のもと関係機関で調査研究が進められた．その結果，1981（昭和56）年頃にはほぼ一貫したシステムが確立し，その後，種々改良が重ねられ現状ではほぼ完成したシステムとして機能している．従来のコールドチェーンは，産地から消費者までを低温管理で高品質に維持するための予冷や保管に関わる冷却設備の開発が中心であったが，近年では，食の安心·安全の観点から，低温管理を含めた情報管理に焦点が向けられている．本稿では，農産物のコールドチェーンに関わる冷却設備などの実際と情報管理としてのトレーサビリティに関して紹介する．